研究概要 |
本研究は,アスペクトグラフの概念を一般化して,センサ分解能による見え方変化を記述する表現に拡張し,さらにロボットが移動・観測する世界のアスペクトを表現する方式の確立を目的とする. 1.カメラからの距離に基づくアスペクト変化記述の研究 アスペクト表現の理論的研究の多くは,直交射影で理想的線画が得られると仮定する.本研究は,広い環境の見え方を対象とすると,これらの仮定が成立しないことを指摘し,従来のアスペクトグラフの限界を明らかにした.多面体で構成される世界では,理想的エッジ検出器を仮定すると,画像面で閾値以下に接近した特徴を接触した特徴と認知し,理論的には観測されないはずの偶然性ビューもしばしば抽出される.また,量子化の影響で距離変化とともに異なった特徴として抽出される.さらに,実世界画像では,ある距離範囲で特徴検出が不安定になる.これらを,アスペクト表現に加えることが必要である. 2.世界のアスペクト表現の研究 世界のビューが位置と視線方向の双方に依存するため,観測空間の次元が増大する.全方位画像ではアスペクト変化は位置変化でのみ起こる利点を利用するアスペクト表現を提案し,多面体世界を対象に解析を行い,床面を観測セルに分割する方式を研究した.実環境では,多くの複雑な物体が配置されているため,線画のアスペクト抽出は信頼性がなく,また可能なアスペクト数も天文学的数字となる.そこで,アスペクトの概念を一般化し,使用センサが検出する特徴が大きく変化する点で環境を分割する.具体的実現法として全方位画像をフーリエ変換し,その低周波数成分を特徴として用いる方式を提案した.また,環境の構造物に基づく経路にそった見え方のアスペクト,構造物配置に基づく表現を提案し,実環境で有効性・ロバスト性を実証した.
|