研究概要 |
本研究の目的は、分子生物学分野のデータベースを素材として分散データベースを構成し、エージェントを用いた検索方式について,実際に試作して検討を行うことにより、必要とされる機能を明らかにすることである。 試作したシステムでは、Genbank,Swiss-prot,PIR,およびPDBの各データベースを研究室内のワークステーションに分散して配置し,各データベース側にデータベースエージェントを置いている。各データベースエージェントは,Javaアプレットで作成し、利用者がJavaを用いてWeb画面上から検索できるような仕組みを作成した。エージェント間のオブジェクト通信にはHORBを用いている。検索結果から必要最低限の情報として、例えばエントリ名だけをクライアントに送り、検索されたデータはデータベースホスト側エージェントにHORBオブジェクトとして一時的に保管するようにしている。配列のアラインメントや集合演算などの計算処理は、データベースホストとは別の高速な計算機ヘエントリのデータを送信して、そこで実行できるようにしている。データの保管期間は、現状ではクライアントが接続しているセッションのあいだとしているが、今後検討の余地がある。システムの応答速度は良好である。また、各データベースエージェント側で配列の相同性検索を用いてエントリ集合を得て、同一遺伝子のエントリを統合する統計的手法についても試作検討した。 この他、データベースエージェント側で単語の共起性を基に関連エントリを検索する手法や、Agent Tclを用いたモバイルエージェントが検索内容に応じて自律的に各データベースを回り関連するデータを集める方式についても試作評価した。実運用されているデータベースホストマシンにエージェントソフトウェアを入れてもらうためには安全性を確保する必要があるが、これはこの種のシステム構成手法に共通の課題である。
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