研究概要 |
コンピュータグラフイックス(CG)による景観シミュレーションは,都市計画や観光開発における景観アセスメントの有力な手段である.この目的のためには,さまざまな季節の表現法が必要となるが,特に気候の厳しい冬季の季節感の表現が重要である.本研究では,景観アセスメントへの応用に向けた冬季の景観シミュレーションのための,雪の質感表現法,降雪・積雪・融雪シミュレーション法に関するCG技術の開発を行い,次のような成果が得られた. (1)雪画像生成のための質感表現法: 降雪雪片については3次元テクスチャ法に基づく手法を開発し,積雪については雪の密度の揺らぎに1/fノイズを用いたボリュームレンダリングに基づく手法を開発した. (2)降雪中の雪の振る舞いのシミュレーション法: 気流の場に渦場を用いた降雪シミュレーション法を開発し,地表の物体との相互作用を考慮した降雪のシミュレーションを可能とした. (3)気流の影響を受けて形成される積雪形状の生成法: 積雪形状生成法を,気流場の環境の中でも動作可能とする改良を行い,風の影響を受ける積雪形状を生成可能とした. (4)熱による積雪形状変形シミュレーション法: 日射や物体からの放射熱,気温,および積雪中の熱の伝搬を考慮して融雪形状を生成する手法を開発した.融雪水の再凍結を考慮した拡張を行い,つららの表現も可能とした. (5)外力による積雪の形状変形シミュレーション法: 雪面に残る足跡や車のわだちを表現するための手法を開発した.本手法は,雪に接触する物体のエネルギや雪の密度変化,雪の移動を考慮することにより雪形状を変形する.
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