研究概要 |
近年,コンピュータの処理能力の向上,或いはマルチメディアの普及に伴い,画像,特に動画像を処理する機会が増加している.ディジタル画像は膨大な情報量を有するため,伝送或いは蓄積する際,符号化が必須となる.しかし,既存の動画像符号化の国際標準方式MPEGは膨大な演算を必要とし,リアルタイムでの符号化は困難となっている.同時に,コンピュータで取り扱う画像も多様化しているため,任意の画像に対してより高効率な符号化アルゴリズムの開発も期待されている.本研究では,既存の画像符号化の国際標準を改善する手法,及び符号化処理を簡素化する手法に関して検討した.静止画像としては次世代の画像と考えられる超高精細画像を対象とし,画像の統計的性質を考慮した結果,国際標準JPEGを上回る符号化効率を実現できた.また,動画像符号化の国際標準MPEGにおける動きベクトルの符号化にGolomb符号を適用し,符号量の低減に成功した.符号化処理の簡素化としてはMPEGのIntra/Non-Intraモード判定に用いられる動き補償予測誤差の分散(標準偏差)を推定し,判定を高速化する手法を提案した.更に,動画像の処理として,ディジタル化された動画像から1フレームを静止画像として使用する場合に関して考察した.移動している被写体を撮影した動画像の1フレームを静止画像として抜き出した場合,被写体の移動によって生じるブレによって画質が劣化する.従って,動画像の高いフレーム間相関性を用い,既に符号化済みのフレームを用いて高精細な静止画像を生成するアルゴリズムを開発した.提案法はMPEGの符号化パラメータである動きベクトルのみを利用しているため演算負荷は極めて少ない.
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