研究概要 |
本研究ではまず,クラスター認知要因に関する詳細なレビューを行った.ゲシュタルト心理学に代表される視覚的グルーピング理論,及び,画像処理工学における視覚的グルーピングの処理アルゴリズムについて,理論的背景と.実際的な計算アルゴリズムを整理した. 次に,これら既存研究に基づいて,比較的簡便な点クラスター認知モデルを構築した.ここでは,点分布の密度に着目し,その空間的集中度と空間的変動の2つを用いて,閾値による確率的認知モデルを採用した.そして,このモデルを検証する実験を実施し,非集計型モデルとして適用した結果,非常によい結果を得ることができた.的中率としては80〜88%であったが,実用という点では十分な値であり,クラスター認知の予測は可能であると言うことができる.さらにこの結果を用いて,点オブジェクトの大きさや重なりなどの影響の定量的評価も併せて行ったところ,いずれも統計的に有意な影響をもたらすことがわかった. 続いて,点分布図における人間の分布パターン認知構造を調べるための実験を実施した.様々な分布密度・パターンの点分布図を被験者に提示,それらをいくつかの指標で定量的に評価させ,その結果をリアルタイムで保存する.そして,得られた実験結果は,点分布図の持つ空間パラメータに基づいて確率的モデルとして表現し,点分布図の表現方法と分布パターン認知の関係を表す数理モデルを構築した.このモデルも説明力は90%を越えており,空間情報の表現方法選択には十分適用できるものである. 最後に,構昨年度得られたクラスター認知モデルと上記のモデルに基づき,点分布図の分布密度・パターンからクラスター・分布パターン認知を予測するシステムを構築した.このシステムは,市販のGISに組み込めるよう,比較的汎用性の高いマクロプログラムとして作成した.そして,構築したシステムの試行実験を行った.
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