研究概要 |
本研究の目的は,メトロポリタンエリアおよびローカルエリアネットワークにおける障害発生のメカニズムを解析するとともに,障害予防手法,あるいは万一障害が生じてもその影響を局所的に留めるようなディペンダブルコンピューティング技術を研究開発することである.平成9年度から11年度における本研究の成果の概要を以下にまとめる. TCPやIPで用いられているチェックサムによる誤り検出方式の誤り見逃し確率の評価をおこなった.チェックサムにおいて受診側が誤りが生じなかったと判断して受理するパケットの集合を非線形符号をみなし,その距離分布の一部を求め誤り見逃し確率の上界,下界の評価をおこなった. インターネットにおける実際のパケット損失を解析するため,UDPパケットを送受信する観測ツールを設計した.このソフトウェアを用いて日本国内におけるエンドホスト間でのパケットの転送遅延と損失の様子を調べた.秋田大学,千葉大学,大阪大学,九州工業大学の協力を得て測定をおこなった.結果の1つとして,連続する誤りの発生メカニズムをモデル化した. たたみ込み符号を用いたパケット損失回復方式について提案した.伝送路上でのパケット損失は独立に発生すると仮定し,パケット損失回復能力の理論解析をおこなった.パケット損失が回復可能であるための十分条件を導出した.同程度の冗長度を持つ単純パリティ方式と提案方式の比較をおこなった.シミュレーションの結果,提案方式の回復能力が優れていることが分かった.マルチキャストへの応用も検討した. インターネットの普及に伴い,TCP/IPパケットの処理が専用ハードウェア上でおこなわれるようになりつつある.TCP/IP機能の一部とPOP3およびHTTPを処理するためハードウェアを設計した.ハードウェア記述言語VHDLを用いた.約20000ゲート規模のFPGAデバイス上に実装し動作を確認した.
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