研究概要 |
平成11年度での科学研究費で以下のような成果がえられた。 1.兵庫県南部地震で損傷した人工改変地域の産状を詳しく調べ,その被害の実態を地域ごと,特に,長田地域,渦が森地域,宝塚地域,生瀬台地域,甲陽園地域,宝生ケ丘地域,住吉山手地域などの調査を行い,その多くが地下水位が高く,地盤流動が生じたことが明らかとなった。その成果を地域ごとに詳細にまとめ,カタログが形成された。 2.兵庫県南部地震により斜面崩壊が約800箇所以上生じ,その後の降雨で崩壊が拡大した地域を航空写真と現地調査で明らかにし,1500箇所にもおよぶことを明らかにした。特に,雨量と崩壊の拡大との定量的関係を灘区の斜面崩壊で明らかにし,120mmを超える雨量で崩壊が始まることが判明した。 3.神戸市の急傾斜地崩壊危険区域約830箇所の斜面すべてを記載し,それらの個別の斜面のカタログを作成した。その結果,39箇所の斜面で継続観察をこれらの斜面で行った。その結果,120mm以上の24時間降雨や40mm以上の時間降雨があった場合,これらの斜面で特に危険な状況にあることが判明した。そこで,これらの状況について,行政にも知らせ,その結果,多くの地域で緊急の防災工事が行われた。 4.兵庫県南部地震5年を経て,人工改変地域や斜面崩壊地域でどのように復興がなされたか現地調査を行い調べた。その結果,人工改変地域では充分な地盤改良工事がなされないまま住宅建設がなされていることが明らかとなり,問題が将来に持ち越された。
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