研究概要 |
本研究では条件付確率場において最大地動を捉え,一部の実観測値を用いて未観測点の最大地動を推定する確率論的補間理論を展開した. 1. 事前情報としての無条件平均値が既知あるいは未知のとき,複数地点の観測値に基づいて未観測点における条件付対数正規確率場を推定するSimple Kriging,Universal Kriging法を提案した.この対数正規Kriging法の結果を条件付対数正規確率密度関数から導かれた条件付特性値と比較するとともに,1995年兵庫県南部地震時に液状化に伴って動いた地盤の変位量を空間的に推定し,その誤差評価を行った. 2. 対数正規確率場以外のより一般的な非正規分布に従う確率場に関して条件付確率場を推定する理論を誘導し,未観測点におけるサンプル実現値の条件付シミュレーション法を提案した.推定誤差の算定に当たっては厳密解を求めることが容易ではないので,誤差伝播解析,カルマンフィルタを適用して最適推定値,推定誤差分散を近似的に評価する方法を提案した. 3. 最大地動の推定値をメッシュ単位に視覚化することを目的に,条件付対数正規確率場におけるブロック推定法を提案した.数値分析によってブロックの大きさが推定結果に及ぼす影響を調べることにより,適用に当たっての留意点を述べた. 4. Krigingの定義とは異なる評価関数すなわちエントロピーに注目し,エントロピーの概念を用いて条件付確率場を推定する理論を提案した.6つの分布を有する確率場において,未観測点での最大エントロピー推定値,条件付エントロピー,条件付平均エントロピーの算定式を示すとともに,Kriging法と最大エントロピー推定法の特質を分析した.
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