研究概要 |
1. 輸送モデルの改善 電流拡散性バルーニングモード乱流輸送モデルにプラズマ回転の効果を取り入れ,それを用いた輸送シミュレーションによって,実験で観測されている時間遅れを伴う内部輸送障壁の形成を再現した.さらに粒子輸送を含めた解析を行い,負磁気シア配位における密度・温度分布の輸送障壁形成を実験結果と比較した. 2. 電子サイクロトロン波電流駆動の解析およびその並列処理 トカマクの時間発展シミュレーションを分散処理によって高速化するため,本科学研究費補助金で購入した複数の計算機を高速のネットワークで接続し,メッセージ交換ライブラリを用いた計算コードを開発した.具体的には中空型電流分布を維持するために必要な電流駆動の解析を行うため,平衡,波動伝播および速度分布変形を組み合わせた電子サイクロトロン波電流駆動解析コードTASK/ECを並列化した.その結果,速度分布解析においては8台の計算機を用いて5倍以上の高速化が実現した. 3. アルフベン固有モードの安定性解析 3次元波動伝播解析コード(TASK/WM)を用いて,中空型電流分布をもつトカマクにおけるアルフベン固有モードの安定性を解析した.その結果,負磁気シア配位ではトロイダル効果によって現れる固有モード(TAE)だけではなく,磁気シアが極小をもつことによって現れる固有モード(GAE)が重要となり,電流分布のわずかな変化によってアルフベン固有モードの周波数が大きく変化することが示された.波動伝播解析においては,分散メモリ型計算機クラスターによる並列処理を行い,ほぼ計算機台数に反比例する計算時間の短縮を実現した.
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