研究課題/領域番号 |
09680501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
上木 厚子 山形大学, 農学部, 教授 (60143088)
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研究分担者 |
粕淵 辰昭 (粕渕 辰昭) 山形大学, 農学部, 教授 (00250960)
上木 勝司 山形大学, 農学部, 教授 (10111337)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 温室効果 / メタン生成菌 / 水田土壌 / 嫌気性細菌 / 鉄還元細菌 / 水稲 / 2価鉄 / 湛水土壌 / メタン生成古細菌 |
研究概要 |
本研究では水田からのメタン放出を抑制する可能性のある湛水土壌中における微生物的鉄還元について検討し、以下の結果を得た。 1.水田土壌中のメタン生成活性と2価鉄量の季節的変化を測定した。作土層土壌のメタン生成活性は湛水後間もなく急速に上昇し、7月上旬の中干し後に低下した。土壌中の2価鉄量はメタン生成活性の増加よりさらに早く増加したが、メタン生成活性とほぼ並行して季節変化し、メタン生成活性と2価鉄量との間に高い正の相関が認められた。水田土壌中のメタン生成古細菌の生息密度は土壌の鉄還元の進行に大きく依存して変化することが分かった。 2.水田土壌中の鉄還元細菌の集積培養を行うための培地の組成や鉄源について種々検討し、電子供与体として、酢酸塩、H_2、またはフマル酸塩を電子供与体とする鉄還元集積培養を確立した。このうち電子供与体としてH_2+フマル酸塩を用いて継代された集積培養は、H_2またはフマル酸塩のみを電子供与体としても活発に鉄を還元した。この他、ギ酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩等の有機酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、セリン等のアミノ酸存在下でも鉄が還元され、多様な基質が鉄還元の電子供与体として消費されることが分かった。 3.この集積培養から鉄還元細菌を数株分離した。これらの菌株はいずれもH_2の他、ピルビン酸塩とセリンを電子供与体としても速やかに鉄を還元した。これらの菌株はいずれもグラム陰性、カタラーゼとオキシダーゼが共に陽性の運動性のある短桿菌で、好気条件でもよく増殖した。これらの菌株の16SrRNA遺伝子を、真正細菌に特異的なプライマーを用いてPCR増幅し、その塩基配列を決定し、データベース上で近縁種を検索した。これらの菌株はいずれもProteobacteria γグループのAeromonas種に99%以上の類似性を示し、その生理的性質もAeromonas種のそれと一致した。これまでAeromonas種が鉄還元能を持つとの報告はなく、この結果は注目される。
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