研究概要 |
経済発展と環境保全を両立させることは,1992年「地球サミット」における「リオ宣言」を引用するまでもなく,地球環境政策の基本目標として世界共通に認識されている.各国でこの目標に従い,具体的にどのような目標を設定し,どのような方法でこの目標に到達するかについて緊急な課題となっている.現在,日本国内では,この環境計画を推進していく上で,森林環境資産についての目標設定とその実現可能性について総合的にシミュレーションできる部分もあると考えられる. また,環境資産について総合評価をおこなう指標の分析ツールが未整備の状態である.そこで,この森林資産のモデル作成を構築していくことで,日本の国土をおおう各種の環境資産としての自然遺産を経済学的に評価していくための日本独自のモデル作成を進めていくことで環境への総合的評価が可能となる. 本研究は,「世界自然遺産」を環境政策の一形態として見なし,わが国においては世界自然遺産の指定地域を対象としながら,経済理論を含みながら不可逆性が成立する環境資産の経済モデルの構築と最適評価負担についての分析を行うことである. そこで,本研究は,国際公共財としての環境,主に森林資源の社会的最適利用政策と公共部門における森林政策の役割についての分析を行った.今日,国際公共財としての範囲に含まれる森林資産の扱われている現状から,分析に至るまで論じた. また,国際公共財としての森林資産の環境・経済資源統合における資産勘定策定の歴史的経過について述べた. 環境資産の産出から,環境・経済統合勘定の基本構造の中では,主に森林資産の算出方法について検討をおこなった. 本成果報告書では,森林資産の基本的理論分析を行ったが,地域限定の具体的な,数値情報に基づく森林資産分析の部分が達成できなかった. 今後のこの研究の方針としては,将来において地域毎の森林資産理論構築に基づく実証分析が重要となってくる.従って,本研究を基礎として,環境政策に結びつくための実証分析を基盤とした具体的な森林循環モデル(水資源などの流域管理を含めた)を作成する研究を継続してすすめていく.
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