研究課題/領域番号 |
09680544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
沈 利星 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (30272157)
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研究分担者 |
臼井 健二 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (80087585)
小林 勝一郎 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (40087606)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 植物ストレス / 抵抗性の強化 / 耐塩性機構 / 塩障害機構 / Inabenfide / 植物種間差 / 活性酸素消去系酵素 / カタラーゼ / 植物の耐塩性機構 / Uniconazole / 植物の耐塩性 / 塩の取り込みと移行 / 葉緑素蛍光 / イネ科植物 / 活性酸素 |
研究概要 |
本研究は、植物ストレス抵抗性の強化させる薬剤の探索とともに植物のストレスの被害機序と抵抗性機構を明らかにし、より効果的な植物ストレス抵抗性強化剤の開発のための基礎資料を得るのを目的とし塩ストレスを中心に研究を大きく二つに分けて行った。一つ目は化学物質(ジベレリン生合成阻害剤、cytochrome P-450阻害剤)による塩ストレス抵抗性強化の効果とその機構を究明しようとした。二つ目は植物の塩ストレス抵抗性機構と塩障害機構を供試植物種をイネ科植物からカヤツリグサ科植物まで広げて追跡した。 1) 植物塩ストレス抵抗性強化剤の探索と抵抗性強化機構:供試した薬剤の中で最も塩ストレス抵抗性に強化効果を表わしたのはinabenfideなどジベレリン生合成阻害剤であり、inabenfideに集中してその強化機構を検討した。この薬剤は塩ストレス条件下における植物の塩類吸収や地上部への移行には影響せず、ストレス条件下の植物において増加される活性酸素の消去系の酵素を活性化した。特に、塩または低温ストレス下のイネ科植物で起こるカタラーゼ活性の低下がこの薬剤の前処理により回復された。この酵素活性の低下と回復の機序は分かっていなくて続けて追跡しているが、これが塩ストレス下で活性酸素を旨く解毒するからストレス抵抗性の強化の原因と考えた。 2) 植物の塩ストレス障害機構と抵抗性機構:数種のイネ科植物の塩ストレス抵抗性程度と植物体内へのNaイオンの吸収と地上部への移行率との間に相関があり、このような現象はカヤツリグサ科植物においても認められた。塩ストレスは植物の活性酸素の発生を増加させて細胞膜や葉緑索の破壊を起こしたが、抵抗性植物や品種においてストレス条件下で発生された活性酸素を消去する酵素の活性が高いことが分かった。従って、植物のストレス抵抗性の強化のためには活性酸素消去系の酵素、特にカタラーゼの機能を遺伝的にあるいは化学的に高める必要があると結論した。 以上の結果のいくつかの新しい知見は植物ストレス抵抗性の強化技術の開発のための基礎資料となり、地球上における植生の回復や食糧の増産に繋がって環境保全に寄与できると思われる。
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