研究概要 |
サイトカイニンは、植物組織の培養細胞技術の開発途上で見出された植物ホルモンの総称であり、極低濃度で植物細胞に対し増殖や分化の制御に関わっている。 申請者は、古くからサイトカイニン活性を持つことが知られているココナッツミルク(Cocos nucifera L.)から、タバコカルスを用いた生物検定法を指標として、活性全体の20%を説明できるサイトカイニン活性物質を単離した。2〓-NMR,HRFAB-MS,GLC,光学分割HPLCのデータ解析により、この化合物はtrans-zeatine ribosideに2分子のL-arabinose ,3分子のD-galactoseが結合した構造(14-O-{3-O-[β-D-galactopyranosyl-(1→2)-α-D-galactopyranosyl-(1→3)-α-L-arabinofuranosyl]-4-O-(α-L-arabinofuranosyl)-β-D-galactopyranosyl}-trans-zeatin riboside)であることを証明しGAZERと命名した。 GAZERは水溶性であり、安定性も高いが、細胞内では加水分解されzeatinとして活性発現に携わっているものと予想される。水溶性・安定性に対して糖鎖はいかなる役割を担っているのか、糖鎖とサイトカイニン活性との関連性については、誘導体等を作成し引き続き検討を行う。 一方、N-phenyl-N′-(4-pyridyl)urea(4PU)をリガンドとしたアフィニティーゲルを作成し、モヤシよりサイトカイニン結合蛋白(CSBP)を単離した。cDNAから分子量は17kDaであり、ホモロジー検索から花粉アレルギー症に関与する蛋白質に近いとの結果を得た。
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