研究概要 |
アロプリノールはキサンチンオキシダーゼ(XO)阻害剤として知られており,痛風治療の一つの有効な手段として臨床で唯一用いられている。しかしながらアロプリノールが全く安全な薬であるとは言い難く,脈管炎,皮疹,好酸球造多症,肝炎や進行性腎不全などの副作用が報告されている。我々は,アロプリノールがプリン類縁体であることから他の核酸関連化合物の中にもXO阻害活性を有する化合物が見つかるのではないかと考え,種々縮合ピリミジン及びプリン誘導体を合成し阻害活性を検討した結果,三環性のプリン誘導体や6ーヒドラジノプリンのアルデヒドヒドラジン類及びそれらの類縁体にアロプリノールを凌駕するXO阻害作用を有する化合物を多く見出した。本研究では先ず,7H-purine類や1H-pyrazolo[3,4-d]pyrimidine類の簡便な一般合成法を確立し,これらから導かれる三環性化合物の9H-1,2,4-triazolo[3,4-i]purine類及び7H-pyrazolo[4,3-e]-1,2,4- triazolo[4,3-c]pyrimidine類の新規合成法を開発した。 合成した誘導体について,牛ミルク由来キサンチンオキシダーゼに対するin vitro阻害活性スクリーニング試験を行った結果,多くの化合物にアロプリノールより数百倍程度の強いXO阻害作用が見出された。(1)2-オキソプリンの6位や6-オキソピラゾロピリミジンの4位にアリールアルデヒド類の導入された化合物はアロプリノールより数10倍から900倍もの強い阻害活性を示した。(2)三環性化合物のトリアゾロプリン類は一般的に対応する二環性のプリン類より活性がやや減弱した。(3)三環性化合物のピラゾロトリアゾロピリミジン類は対応するピラゾロピリミシン類より活性が強く,アロプリノールより30倍から800倍程度の強い活性を示した。本研究で,in vitroでのXO阻害活性物質検索に於いて,痛風治療薬として唯一臨床で用いられているアロプリノールより数百倍強い新規物質を見出すことに成功した。これらの誘導体の中に,in vivo試験に於いても強いXO阻害活性化合物の発掘・開発が今後期待出来る。
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