研究概要 |
ウシのP45017αはプリグネノロンとプロゲステロンを基質とし、17α水酸化反応を触媒するとともに、プリグネノロンを連続的水酸化反応によりデヒドロエヒアンドロステロン(DHEA)に変換するが、プロゲステロンを基質にした場合、アンドロゲンへの連続的水酸化は起こらない.この原因を反応速度論的に解析した.その結果プロゲステロンを基貢とするとウシのP45017αからの17α水酸化プロゲステロン解離が非常に速いため連続的反応が起こらないことが判明した(山崎ら、Biochemistry37,2800,1998). P45011βはデオキシコルチコステロン(DOC)を基質としてコルチコステロン(cortico)とアルドステロン(Aldo)を合成する.コルチコステロンは重要な糖質コルチコイドであるため、P45011βはアルドステロンを合成する連続反応とともに11β水酸化のみで反応が止まる経路も存在するはずである.この研究の結果P45011βはDOCをまず11β水酸化してコルチコステロンを合成し、そこで酵素から解離しなかった中間体がアルドステロンまで連続的に水酸化されるということが反応速度論的解析より判明した.また、P450sccはP45011βに結合すると中間体であるコルチコステロンの酵素からの解離を促進する事も明らかとなった(今井ら、Biochemistry37,8097,1998). 脳下垂体から送られた副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は副賢皮質細胞の表面にある受容体に結合し、その刺激は細胞内刺激として細胞内のセカンドメッセンジャーの濃度を増大し、ステロイドホルモン生合成の活性化を促す.短期的効果(15分以内)ではセカンドメッセンジャーが主に出発基質であるコレステロールのミトコンドリア内膜への輸送を活発化する.副腎皮質内のACTH刺激に対応するセカンドメッセンジャーとしてCaイオン、15-HPETE,cAMPなどの役割が明らかとなった(山崎ら、Endocrinology,139,1998). 脳で合成されるニューロステロイドの作用とその合成箇所を調べるため、P450sccの抗体などを用いて調べたところプルキンエ細胞等に局在する事が明らかとなった.また、連続的水酸化反応として興味深い一酸化窒素合成酵素の反応機構がP450の反応機構と同じであることも明らかにした.
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