研究概要 |
我々は、bfp(brain finger protein)/ZNF179の詳細な発現部位の検討、疾患モデルマウス作製と進める事を試みており、まずbfpの脳神経系での詳細な発現部位をin situ hybridization法や免疫組織染色にて調べた(Orimo,A.,et al,Genomics,54,59-69,1998)。in situ hybridizationによりbfpの発現は、大脳皮質(広汎に)、海馬、扁桃体、梨状皮質や小脳の顆粒細胞層に強く発現しており、また発生過程では13.5日胚での脳胞のmarginal zone(分化した神経細胞が集積している部位)、眼原基、毛胞原基や三叉神経節(data not shown)などで検出された。これらの部位はSMSの表現型と部分的に一致しておりbfpとSMSの関係を深く追究する必要性を高めるものであった。(Orimo,A.,et al.,Genomics,54,59-69,1998)。またNorthe blot法にて発生過程でのbfpの発現量を頭部と体幹に分けて調べてみると、12dpc以降bfp mRNAは脳特異的に分化とともに劇的に増加しており、対照的に体幹では14dpc以降はほとんど発現していなかった。これらの所見は、分化した神経細胞におけるbfpの機能を知ることが次のstepで必要であることを意味していた。以上よりbfp遺伝子が個体内で欠失した場合、SMS様の表現型を呈するか否かが興味の対象となり、bfpの機能欠損型モデルを得るためにbfp遺伝子欠損マウスの作製を現在進行中である。2種類の遺伝子変異挿入を設計した遺伝子機能欠失を意図したtargeting vectorより現在複数のF2マウスを得ており、行動的機能解析、神経系の形態解析等を進めている(Orimo, A., et al., In preparation)。このマウスがSMSのモデルマウスとなり直接的な証拠が得られかつ、予防、治療に役立つことを期待している。
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