研究概要 |
我々は細胞性粘菌の産生する分化誘導因子DIF-1が、抗腫瘍作用を示すことを見いだし、DIF-1の作用・作用機構解析を行ってきた。本研究においては、すでに、DIF-1がヒト骨髄性白血病細胞HL-60細胞の増殖を抑制し、レチノイン酸による分化誘導を促進することを報告している(Kubohara,Biochem.Biophys.Res.Commun.1997)。 さらに我々は、通常細胞に対するDIF-1の作用を調べ、DIF-1の通常細胞に対する細胞毒性が、ある種の腫瘍細胞に対する毒性よりも小さいことを見いだし、DIF-1の臨床応用への可能性を示唆した(Kubohara et al.Zool.Sci.1998)。また、DIF-1(塩素原子を2つ含むアルキルフェノン)の人工的アナログの抗腫瘍作用を比較し、DIF-3(塩素原子1つを含むアナログ)が最も強い抗腫瘍活性を示すこと、DIFアナログ分子中の塩素原子とアルキル基の長さ、官能基の配位位置などが抗腫瘍活性に重要であることを見いだし、新規薬剤開発のヒントを得た(Kubohara,投稿中)。 さらに、DIF-1の作用機構解析を進め、DIF-1がヒト白血病K562細胞においてPl3-KinaseおよびAkt/PKBを活性化することを発見した(Kubohara and Hosaka,投稿準備中)。
|