研究概要 |
1.ショウジョウバエcDNAライブラリーのスクリーニングによる脊椎動物レチノイド結合蛋白質の相同分子の探索:この解析については、研究期間の終了時にショウジョウバエ全ゲノム構造が公開され、脊椎動物レチノイド結合蛋白質(RBP,CRBPなど)と相同性の高い蛋白質をコードする遺伝子は存在しないことがわかり、cDNAライブラリーのスクリーニングの結果と一致した。 2.ショウジョウバエ網膜におけるイカレチナール結合蛋白質相同蛋白質の解析:イカで発見されたレチナール結合蛋白質(RALBP)に対する抗体を用いてショウジョウバエの網膜を調べたところ、複眼および単眼のinterphotoreceptor matrixに免疫反応を示す分子量約120kDaの蛋白質を見出した。この蛋白質はショウジョウバエのRALBPである可能性が高く、レチナールの代謝異常を引き起こす突然変異、ninaDとの関連を調べている。 3.脊椎動物RPE65のショウジョウバエ相同蛋白質の探索:網膜色素上皮細胞に特異的に存在するRPE65蛋白質は脊椎動物門全体で非常によく保存された一次構造を持ち、visual cycleにおいて、重要な蛋白質と考えられている。そこで、相同蛋白質をショウジョウバエで探索したところ、アミノ酸残基の配列が約40%一致する蛋白質(DRPE65)を見出した。蛋白質のモチーフ解析から、類似のモチーフを持つ蛋白質が、植物のカロテノイド代謝酵素の中にも存在することがわかり、RPE65関連タンパク質は、動植物界において、レチノイド及びカロテノドの代謝に関与する蛋白質ファミリーを形成していることが強く示唆された。 4.ショウジョウバエ光情報変換関連蛋白質INADの機能解析:視物質の代謝と密接に関係する光情報変換に関与する蛋白質INADの機能解析を行った。
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