研究概要 |
1.嫌気培養した酵母、呼吸欠損株、Antimycin Aで呼吸阻害をして培養した酵母の単離mt核では、好気培養酵母のmt核と比較して,67kDaタンパク質が少ないことを明かにした。 2.mt核の67kDaタンパク質のN末端のアミノ酸配列を決定し、このタンパク質がcarnitine acetyltransferase(CAT)であることを明かにした。このタンパク質に対するポリクローナル抗体を作成して、間接蛍光抗体法を行い、この酵素の一部が単離mt核に結合していることを示唆する結果を得た。 3.酵母Trigonopsis variabilisのミトコンドリアおよびmt核の挙動と細胞骨格の関係を、蛍光顕微鏡を用いて解析した。 4.mt核分画の主要なタンパク質である20kDaタンパク質がDNA結合タンパク質Abf2pであり、mt核に強く結合していることをアミノ酸配列決定と抗体を用いた解析から明かにした。そして、Abf2pを簡便に検出する方法としてSDS DNA-PAGEを提案した。 5.以前に筆者らが取得していた、酵母mt核タンパク質に対するモノクローナル抗体YMN-1が認識する抗原タンパク質を同定した。この抗原タンパク質はα-ケトグルタル酸脱水素酵素複合体(KGD 複合体)のサブユニットのひとつdihydrolipoyl transsuccinylase(KE2)であり、また、酵素活性測定により、KGD複合体の一部がmt核分画に含まれていることを明かにした。 6.二次元電気泳動で分離したmt核タンパク質について各スポットのアミノ酸配列を決定した。その結果、mt核に含まれる54kDa,52kDa,50kDa,38kDa,22kDa(2種類)の6つのタンパク質についてN末端から10個程度の配列を決定した。
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