研究課題/領域番号 |
09680723
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
依田 欣哉 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助手 (30126916)
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研究分担者 |
植村 和彦 国立科学博物館, 地学研究部, 研究員 (50000138)
鈴木 三男 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111483)
高田 克彦 九州大学, 農学部, 助手 (50264099)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 分子分類 / メダカ胸ヒレ欠失変異pl / 分子系統 / 左胸ヒレ欠失変異lpl / 針葉樹 / *1交配 / 球果植物綱 / 染色体他* / 葉緑体DNA / RAPD法 / DNA塩基配列 / 核DNA / RAPD / 戻し交配 / 染色体地図 / ニホンメダカ / 形態形成 / 胸ヒレ欠失変異pl / 右胸ヒレ欠失変異lpl |
研究概要 |
葉緑体DNA上のDNA塩基配列情報もしくは核DNA上の18SrDNA遺伝子塩基配列情報を利用し、針葉樹類の系統進化解明を行った。主な成果は次の通りである。 (a)戻し交配HNI/pl(雌)Xpl/pl(雄):3組を用いて597個体のF1について調べたところ、野生型278(46.6%)、pl317(53.1)、lpl2(0.3%)であった。さらに約500個体を調べたがこの値はほぼ変わらなかった。lplの出現頻度はかなり高いと言わなければならない。(b)lpl-1(male)xlpl-2(female):pl90(53%)、lpl43(25%)、wild type38(22%)。更に良く解析すると、plについては約半数(47)が発生初期には胸鰭budを形成していることが明らかとなった。(c)lpl-1xpl/pl:lpl-1の表現型とplの表現型が1対1で分離することはなく殆どがplの表現型を示し約1割がlplを示した。これまでの実体顕微鏡による観察から、lpl変異には胸ヒレの成長過程に関して多数の表現型があることが示唆されている。最も典型的なタイプは、発生初期には両方の胸ヒレbudが出現するが発生とともに右ヒレの生育がよいものが目立ち左はbudのままでヒレの成長が見られないものが多く観察された。これまでの実験から、表現型の現われ方は始め予測したものよりも複雑で単一な遺伝子の支配によっては説明できないように思われる。遺伝子のバックグラウンドがヘテロであり、その点も結果を複雑にしているため、今後の実験としてはこの点を改善する必要がある。 1.針葉樹全体の系統進化の解明:針葉樹類を構成する8科のatpA、petA、rbcLの葉緑体DNA上の3遺伝子(約3,000bps)の塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報を最尤法等で解析した結果、従来の仮説とは異なる知見が得られた。 2.ヒノキ科における系統進化の解明:11属を対象として、上記3遺伝子のDNA塩基配列を決定した。これまでヒノキ属に含められていたアラスカヒノキ(Chamaecyparis nootkatensis)は、イトスギ属(Cupressus)に属するのが妥当であることが判明した。さらに、ヒノキ属6種の18SrDNAの塩基配列(1,694bps)を決定した。各樹種は、種特異的な塩基配列を保有しており、これを利用することにより樹種識別が可能であることが明らかとなった。 3.マツ科における系統進化の解明:マツ科を構成する9属を対象として、葉緑体DNA上の6遺伝子領域(上記3遺伝子とrpoA、rps2、rps3)の塩基配列を決定し、塩基配列情報に基づく系統解析を行った。マツ科は、4亜科に分類されることが判明した。 4.マツ属の新たな分類体系の構築:針葉樹中最大の分類群であるマツ属において、葉緑体DNA塩基配列情報を利用し、系統進化に基づく分類体系の再構築を行った。葉緑体DNA上の3遺伝子(atpA、rbcL、rpoA)の塩基配列情報から分子系統樹を作成し、この系統樹を基に、従来の分類体系とは大きく異なる新たな分類体系を提唱した。新分類体系の4節、11亜節は、分布地域が近い種群で構成され、マツ属の系統進化に地理的要因が大きく影響していた。
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