研究課題/領域番号 |
09680744
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
加藤 信介 鳥取大学, 医学部, 講師 (60194817)
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研究分担者 |
大浜 栄作 鳥取大学, 医学部, 教授 (50018892)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 家族性筋萎縮性側索硬化症 / アストロサイト内硝子様封入体 / Superoxide dismutase 1 / Granule-coated fibril / レビー小体様封入体 / Maillard反応 / Aggregation toxicity / Advanced glycation endproducts |
研究概要 |
1. 新知見としての病理学的所見 家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)はSuperoxide dismutase 1(SOD1)遺伝子異常が病因と考えられる運動ニューロン疾患である。その病理学的特徴は、運動ニューロン内レビー小体様封入体(LBHI)の存在である。今回、我々は4家系8症例のFALSを詳細に解析し、異なる2家系の長期生存例で次の新知見を明らかにした。1)LBHIが運動系以外のニューロンにも多数出現していた。2)今までに報告されていないアストロサイト内硝子様封入体(Ast-HI)が出現していた。 2. 新知見の病理学的解明 運動系以外の神経細胞内に出現していたLBHIは運動系のものと全く同一であった。また、Ast-HIは免疫組織化学的にはアストロサイト系のマーカーを有し、LBHIはニューロン系のマーカーを有していたが、超微形態的には両者ともgranule-coated fibrilで構成されていた。免疫電顕的解析により、Ast-HIとLBHIのgranule-coated fibrilにはどちらもSOD1が高度に集積していた。即ち、LBHIとAst-HIとはともにSOD1遺伝子異常の形態的表出であることが判明した。 3. LBHIとAst-HIとにおけるadvanced glycation endproducts(AGEs)形成の発見 Maillard反応は、血中グルコースが種々の蛋白質のアミノ基に反応し、酸化過程が加わり、不溶性で、生体毒性のあるAGEsが形成される反応である。一方、LBHIとAst-HIにおいてMaillard反応が生じ、AGEsの一つであるN^ε-carboxymethyl lysine(CML)がSOD1と共に共存していた。免疫電顕法にて、LBHIとAst-HIの両者の共通なgranule-coated fibrilにCMLが局在していた。即ち、両封入体を形成しているgranule-coated fibrilの主構成蛋白であるSOD1、特に変異SOD1がAGE化を受けたものと考えられた。この事実は、変異SOD1自身がAGE修飾変異SOD1に成ることにより、より不溶性でより生体毒性の高い産物として、細胞内に凝集(aggregation toxicity)する事を意味し、封入体形成細胞死の1つのメカニズムを解明した。
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