研究課題/領域番号 |
09680752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
杉本 哲夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (90144352)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | プリオン蛋白 / ノックアウトマウス / プルキンエ細胞 / 小脳 / 脊髄蛋白 / 脊髄白質 |
研究概要 |
プリオン蛋白(PrP)はプリオン病への関与が推定される感染性膜蛋白であり、正常型PrP蛋白は脳内に広く分布している。現在まで正常型prp蛋白の機能はほとんど解明されていないため、本研究では正常型PrP蛋白の遺伝子欠損マウス(ホモ接合体)から得た小脳と脊髄組織を用いて、エポン包埋切片を作製。光顕、ついで電顕観察を行った。対照には上記マウスの野生型とへテロ接合体から得た組織を観察し、以下の結果を得た。(1)小脳。ホモ接合体の小脳において、プルキンエ細胞は生後40週齢以降に顕著な細胞消失を呈した。プルキンエ細胞マーカーであるカルビンジンD28免疫染色を実施したところ、プルキンエ細胞の脱落は各分葉においてかなりの領域に集中して認められた。いずれの領域においても小脳皮質分子層の減厚が併せ認められた。残存するプルキンエ細胞は樹状突起を繁茂させているものが多かったが、その一方、プルキンエ軸索には顆粒層内において瘤状変性を示すものが散見された。電顕的にはプルキンエ細胞体の萎縮・変形、プルキンエ軸索の起始部に膨隆と、髄鞘の菲薄化を呈した。(2)脊髄。ホモ接合体の脊髄エポン切片上に、脱髄と空胞変性を認めた。これら病理所見は脊髄白質に主に出現した。脱髄所見は前・側・後索のいずれにも大型有髄線維に認められたが、空胞変性は後索に多く集中した。へテロ接合体および野生型の小脳と脊髄にはこれらの異常所見を認めず、その他とくに異常な形態変化は確認されなかった。以上より、PrP蛋白遺伝子欠損動物では、小脳プルキンエ細胞の脱落をきたすほか、脊髄白質に空胞変性と脱髄を生じること、脱髄により大型有髄線維の脱落をきたすことが推定された。この結果は、PrP蛋白が小脳と脊髄の神経連絡系においてその形態や機能を維持するために重要な役割を発揮していることを示唆している。
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