研究概要 |
ブタ脳に同定された6-ニトロノルエピネフリン(6-NNE)による,ラット大動脈の収縮に及ぼす影響について検討した.前年度の結果のよれば,6-NNEによる増強作用は非特異的リポキシゲナーゼ阻害薬であるNDGAやAA861により抑制され,シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるインドメタシンや12-リポキシゲナーゼ阻害薬であるバイカレインは6-NNEによる増強作用をさらに増加した.5-リポキシゲナーゼ阻害薬は6-NNEによる増強作用に影響しなかった.これらの結果により,リポキシゲナーゼがこの増強作用に関与している可能性を示唆した.しかし,これら薬物の特異性については検討していなかった.NDGAはリポキシゲナーゼ阻害作用以外にも,ホスホリパーゼA2,P-450,チロシンリン酸化酵素の活性を阻害する.また,AA861が抑制する濃度はリポキシゲナーゼ阻害濃度として報告されているものの100倍以上であるので,リポキシゲナーゼ阻害に特異的な濃度とは言えない.また,バイカレインはMAPキナーゼの阻害作用がある.したがって,上記の各阻害薬の結果を正しく解釈するためにはこれまでのデータのみでは不十分である. 6-NNEの分布を検討する目的で,6-NNEに対するポリクロナール抗体を家兎を用いて作成し,この抗体の特異性を検討した.この抗体は6-NNEのカテコール部分を主に認識するため,他の内因性カテコールアミンと交差反応することが判明した.現在,再び抗体作成を行っている. 6-NNE生成過程におけるスーパーオキシドの役割については,現在も検討中であり結論は出ていない.
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