研究課題/領域番号 |
09680780
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | (財)東京都精神医学総合研究所 |
研究代表者 |
上田 健治 (財)東京都精神医学総合研究所, 神経化学研究部門, 主任研究員 (90261180)
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研究分担者 |
額田 敏秀 (財)東京都精神医学総合研究所, 神経化学研究部門, 副参事研究員 (80189349)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | NAC / NACP / アルツハイマー病 / パーキンソン病 / synuclein / 細胞内情報伝達 / neuronal degeneration |
研究概要 |
我々は、アルツハイマー病(AD)脳アミロイドから未知ペプチドNAC(non-Aβ component of AD amyloid)を見出し、前駆体蛋白質(NACP)のcDNAをクローニングした。NACPは前シナプス蛋白質と判明し、重視すべきは、NACPが多量に発現している脳領域とAD脳神経病理の分布部位とが酷似する事実である。ADの老人斑の数と痴呆の程度とは必ずしも一致せず、強い正相関はシナプス数の減少と痴呆の程度とに見られる。一方、黒質にも多量に発現しているNACP/α-synuclein遺伝子の2つのミスセンス変異が、家族性パーキンソン病(PD)の独立した5家系で、疾患原因遺伝子として同定された。従って、NACPの機能異常等がシナプスの機能異常を来し、痴呆やParkinsonismという症状に繋がる機構が考えられる。事実我々は、AD脳において、シナプス部位と変性神経突起にNACPの異常蓄積を示したのみならず、PDの特徴的神経病理であるLewy小体の異常繊維構造にNACP全分子が存在することを示した。他方、精製したNACPはin vitroで繊維形成する事が示され、変異体は形成が加速した。従って、NACPの異常繊維構造物が細胞内、軸索内、及び前シナプス部に蓄積し、これらがニューロンの機能異常、即ち神経伝達異常をもたらし、症状を発現せしめ、神経細胞死にも繋がる可能性が高い。事実我々は、Lewy小体型痴呆症(DLB)海馬のperforant pathwayの変性終末軸索にNACPの異常蓄積を見出し、他方、軸索の始原ニューロンの胞体には蓄積があまり見られないことから、終末部からの逆行性神経変性を示唆した。又、PD/DLBのglia内にもNACPの異常構造体を確認したのみならず、多系統萎縮症の細胞内異常繊維もNACPを構成成分とすることを明らかにし、複数の神経変性疾患の病理形成にNACPが主要な役割を果たしていることを明らかにした。
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