研究課題/領域番号 |
09680817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 浜松医科大学 (1998) 名古屋市立大学 (1997) |
研究代表者 |
福田 敦夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50254272)
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研究分担者 |
西野 仁雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60073730)
内田 勝久 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10168693)
鮫島 道和 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80135251)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 細胞内Cl^- / Cl^-輸送体 / MEQ / 細胞内Ca^<2+> / Na^+-Ca^<2+>交換体 / 脳虚血 / ミトコンドリア / グリア / トランスポーター / 3-nitropropionic acid / 光学的測定法 / GABA / 大脳皮質 / NMDA |
研究概要 |
1. fura-2でラベルした日齢7-14のラット大脳皮質スライス錐体細胞からの[Ca^<2+>]_iの光学測定をおこない、スライスを無酸素無グルコース(インビトロ虚血)人工脳脊髄液で灌流したときの[Ca^<2+>]_iの変化を大脳皮質各層で同時記録した。[Ca^<2+>]_i上昇はII/III層で最も著しく、これにはNMDAレセプターが関与していた。また、本来抑制性のGABA作用がむしろ[Ca^<2+>]_i上昇に作用していることが明らかになった。Cl^-輸送体機能を抑制した神経回路でもGABA作用が抑制から興奮に転じNMDA受容体を介した[Ca^<2+>]_i上昇を誘発することから、脳虚血時にもCl^-濃度勾配の低下により同様の病態が起こっている可能性が示唆された。 2. 脳虚血時のCl^-輸送体の機能変化による[Cl^-]_i変化とそれに伴うGABA作用をみる目的で、Cl^-感受性蛍光指示薬のMEQ(6-methoxy-N-ethylquinolinium iodide)を用いた光学的測定法により、脳スライスの神経細胞[Cl^-]_i変化を直接的に多点で同時に観察できる方法を開発した。この方法を用いて神経細胞[Cl^-]_iを大脳皮質各層で同時測定し、インビトロ虚血状態で実際に[Cl^-]_iの上昇が起こっていることを明らかにした。このことから脳虚血時にE_<Cl>の脱分極側へのシフトが起こりGABA作用が抑制から興奮に転じる可能性が示唆された。また、インビトロ虚血による[Cl^-]_i変化は2相性であり、Cl^-流入に先立つCl^-流出には、Na^+,K^+-2Cl^-トランスポーターの抑制が関与していた。 3. ニューロン・グリア共培養を用いて、ミトコンドリア毒素の3-NPA(3-nitropropionic acid)による化学的虚血の実験を行い、fura-2によるニューロン及びグリア細胞内Ca^<2+>濃度の同時測定を行った。アストロサイトはCa^<2+>-overloadに対する脆弱性がニューロンよりも高く、そのメカニズムとしてはNa^+-Ca^<2+>exchangerの逆転がアストロサイトにおいて起こりやすくニューロンでは起こりにくいことが明らかとなった。Ca^<2+>-overloadに陥ったアストロサイトにおいて細胞膜の破綻を伴う細胞死を認めたが、ニューロンでは少なかった。以上のメカニズムとしてアストロサイトとニューロンのエネルギー産生代謝の差異が原因として考えられた。
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