研究課題/領域番号 |
09710029
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
椎原 伸博 玉川大学, 文学部, 講師 (20276679)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | エコミュージアム / パブリックアート / 公共圏 / オルタナテイブ / レギュラシオン / 環境美学 / アートマネジメント / NPO / アートマネージメント / 公共性 / 環境教育 / オルタナティヴ |
研究概要 |
本研究は、台東区谷中地区の街づくりNPO「谷中学校」中心に開催されている「谷中芸工展」をケーススタディとして、コミュニティを基盤とするパブリックアートの可能性が、都市におけるエコミュージアム(以降EMと略記)的視点を導くことを検証した。それは、行政主導による地域振興策として、住民不在のまま展開しがちなEMに対するアンチテーゼであると共に、多元主義の時代における芸術のあり方を示唆するものである。 本来EMとは、その発祥の地フランスにおいて「ある一定の地域にて、住民参加により、地域で継承されてきた環境と生活様式を表す自然・文化遺産を総体にして、恒久的な方法で、研究・保存・展示・活用する機能を保証する文化機関」と定義づけられている。それは、地方分権主義による地域振興策として展開するが、その運営には主体的な住民の積極的参加が必要である。そして、核となる施設と多くのサテライト施設を配置し、ネットワーク構築により、地域の同質性が強調されることになる。しかし、住民が管理・運営する主体者として自律していく過程にあって、同質性からの離脱は必至であり、多くの主体者が調整しあい節合を模索することとが要求される。それは、多元化した社会における公共圏のモデルであり、オルタナティブな社会理念の提示ともいえる。 同様に、芸術が生産される場において、非営利で主体的な市民による活動は、美の自律性に立脚する旧制度を否定し、新しい美的環境を提示する。それは、行き詰まった芸術行政を是正し、芸術支援や芸術運営を円滑にして、社会と芸術の結びつきを強固にする。このとき、芸術の主体は私的所有を放棄し、他者との調整を通して領有を受け入れることになる。それは、オルタナティブな公共圏における芸術の可能性であり、パブリックアートの本質を開示するとともに、多元主義の時代におけるEMの方向性をも提示する。
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