研究課題/領域番号 |
09710064
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
小山 幸子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所・総合生理研究施設, 助手 (40270483)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ヒト / MEG / 言語 / 側頭葉 / 単語 / 言語野 / 意味 / 脳磁場(MEG) / 左大脳半球 |
研究概要 |
背景:脳損傷例などの検討から、脳内にあらかじめ蓄えられた単語の意味、音韻、形態の情報、すなわち「心的辞書」が読み書き、聞き取りに重要な役割を果たしていると想定されている。一方、認知心理学的な検討から、1.これから提示される単語に対する予期や、2.同じ単語の繰り返し提示によって、心的辞書の状態が変化することが推測されている。本研究では心的辞書の神経基盤を検索することを目的に、単語の予期および繰り返し提示が誘発脳磁場におよぼす効果を検討した。 方法:1.予期の効果の検討;四字熟語の前半部を先行提示し、正しい後半部と誤った後半部とで誘発脳磁場を比較した(健常被験者22名、21-36才)。2.繰り返しの効果の検討;四文字のカタカナ単語および偽単語を8語間隔で2回提示し、初回提示と反復提示とで誘発脳磁場を比較した(健常被験者14名、24-40才)。刺激は共に視覚提示した。脳磁場は、37チャンネルの脳磁場計測装置2基(BTi社)を用いて左右の側頭部から記録した。 結果:左大脳半球側では単語提示後300〜500msに明確な誘発脳磁場成分が出現したが、右大脳半球では認められなかった。左大脳半球側の成分の活動源は聴覚野近傍に推定された。さらに、1.提示された単語が予期可能な場合、この磁場成分は認められなかった。2.同一の単語が繰り返し提示された場合には、活動レベルが低下した。3.偽単語に対しても、同様の活動が認められたが、繰り返しによる活動レベルの減少は見られなかった。 結論:1.聴覚野近傍の皮質の機能には半球間差がある。2.左大脳半球の聴覚野近傍の皮質は単語認知に伴って活動し、その活動レベルは被験者の予期との一致、および繰り返し提示によって減少する。このことから、この領域は心的辞書の神経基盤の一部である可能性が高い。
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