研究課題/領域番号 |
09710133
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
数土 直紀 信州大学, 人文学部, 助教授 (60262680)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 権力 / 進化ゲーム理論 / 自由 / 合理的選択 / 性 / 進化的ゲーム理論 |
研究概要 |
本プロジェクトでは、進化ゲーム理論を用いた数理的手法により、幾つかの具体的な社会現象を分析した。そしてその結果、権力現象を産出する二種類のメカニズムを特定化することに成功した。一つは、男性と女性というように性によって分割された異なる二集団間に存在する権力が生成されるメカニズムである。このメカニズムが成立する条件下では、自由で相互に対等であるような相互行為であっても、条件さえ整えば半ば必然的に権力関係が形成される。もう一つは、集団内において生成される権力である。このメカニズムが成立する条件下では自発的に搾取されることを選択する「利他的な」個人が広義の合理的選択を通じて出現する。しかも、搾取されることを自発的に選択するために、このような権力は個人の主観に定位する限り検出されない「見えない権力」となっている。本プロジェクトが解明したこれらのメカニズムの特徴は、いずれも自由で対等な相互行為から権力現象を明らかにしているところにある。従来の研究では、権力は自由と対立する概念だと理解されてきた。したがって、自由な相互行為からも権力関係が生成されるという認識が希薄であった,しかしながら、本プロジェクトの成果によって、対等で自由な相互行為からも結果として非対称的な権力関係が生成されうろことが示された。これは従来の権力研究を大きく前進させるものであり、それゆえ本プロジェクトの成果は重要な意義を有していると思われる。
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