研究課題/領域番号 |
09710151
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
織田 輝哉 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (20276421)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 社会的公正 / 理論モデル / 実証データ / 公正基準 / 現実認知 / 利己心 / 正義の世界 / 社会契約 / 社会階層論 |
研究概要 |
1 実証データによる公正感・公正意識の分析については、95年「社会階層と移動」全国調査、万年「公正観」全国調査データを用いて、不公平感生成メカニズムの分析を行った。公正基準と認知された現実とのズレから不公平感が生じるというモデルを基礎に、基準・現実認知の規定因をも含めて分析する必要が明らかになった。そして公正基準が、利己心・理念内面化・啓蒙効果等によって規定され、一方で現実認知が自己正当化・「正義の世界」維持・認識の局所性等による影響を受けることが明らかにされ、全体的な公正感の説明モデルでは、社会経済的属性と公正感との単純な関連性は見出されず、非線形的で再帰的な構造が存在することが明らかになった。 2 理論モデルから予測される分配の分析については、人々の公正基準が個人によって、また状況に依存して多様であり、また複数基準を組み合わせているために、いかなる分配が「理想」に近いのかを明らかにすることは難しいことが分かった。ただ、実態レベルでは、理想的な資源配分が、「業績」よりは「努力」による分配であること、一方で現実は、むしろ「業績主義」に近いと人々に認知されていること、そして、このような理想と現実とのズレが、不公正感を生み出す一つの要因となっていることが判明した。今後は、資源分配を所与として、現実認知のメカニズムが変化がどのように公正感が変化していくのかについての、シミュレーション分析を行う方向で研究を進めたい。 3 規範的公正感(たとえばロールズの正義論)と現実の人々が抱く公正感との関連性は、文献サーウェイによれば、弱いことが明らかになった。だが、その政策的レベルでの有効性はそれによって制約を受けるのもではなく、むしろ、主導理念としての役割を考えるべきである。
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