研究課題/領域番号 |
09710153
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
大庭 絵里 神奈川大学, 経営学部, 助教授 (60221834)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 構築主義 / 犯罪 / ニュース / 言説 / リアリティ / 可視化 / 少年事件 / 社会構築主義 / 言説分析 |
研究概要 |
本研究は、昨年度から継続しており、犯罪事件のニュース言説において「犯罪」がいかに語られ、「犯罪」のリアリティはどのように社会的に構築され、可視化されるか、構築主義の視点から考察するものである。 本年度(1998年度)においては、1997年に引き続き、神戸で起きた小学生殺害事件に関する資料収集、新聞記者へのインタビュー、さらに、1998年夏に和歌山県で起きた殺人事件に関する資料収集並びにその関係者へのインタビューなどを行った。 いかなる事件であろうと、記者たちは日常の取材活動のルーティンにしたがっている。情報源が警察に偏っていることは、従来からも指摘されているが、ルーティン以外での情報収集がなされても、記事化されにくい。神戸の事件に関しては、被疑者が少年であること自体が、報道機関の情報源を限定させた。記事のニュースストリーの構成は通常の犯罪報道と変わりはない。「残虐」性を強調する報道、被害者の権利の強調する報道は、やがて、少年法「改正」議論の報道へとつながり、「改正」派の言説にとって言語的資源となった。少年事件の「凶悪化」は、情報源である警察庁などの統制機関と報道機関とが、少年事件のリアリティをどう見るのかについての定義づけであり、「凶悪」な事件の存在の境界を恣意的に設定した結果である。報道機関は単に情報源機関からの情報をストーリー化するだけでなく、自らも統制の役割を果たすようなニュース言説を構成する。被疑者に関する適性手続に関してはストーリー化されにくい。「子ども」に関する言説も、事件の枠組に適応するように恣意的に構築される。 98年度後半から和歌山県内で起きた「毒物混入殺人事件」についても、資料収集やインタビューを続けいているが、この件についての研究はまだ未完であり、「犯罪事件」の社会的構築についての研究は今後も継続する。
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