研究概要 |
本研究は,各地方自治体間における格差の実情を分析し,ひいては横並びの状況を拮摘することを目的とし,平成9年度においては,その分析の前提となる資料として都道府県(以下,単に県。)別の財源別の教育費支出をおよそ5年毎に整理したところである。本年度においては,主として以下のような方法を用い,この資料を分析した。 (1) 「文部省地方教育費調査報告書」の学校教育費総額に占める国庫補助金の割合を補助金比率として,この率の県別分布状況をクラスター分析(群平均法による。)により6つのクラスターに分けた。大まかなトレンドとして東京だけで1つのクラスターが形成され,それに近いクラスターは大阪,愛知,神奈川等になる。北海道,島根,秋田,山口等がこれと一番遠いクラスターを形成する。それ以外の県は年度により移動する。 (2) 各県を平成2〜6年度の財政力指数を基準に6グループに分け,グループ毎に上記教育費を集計し,全画計との割合から「各財源のグループ別シェア」「各グループ毎の財源別シェア」をだした。前者で後者を除したものを「特化係数」とする。平成7年度の地方教育費調査を用いると,第2グループ(財政力指数0.500〜1.000)の14県で国庫補助金へ特化する傾向がみられた。 (3) 秋田県等に対して行ったヒアリング調査から横並び意識は財政力指数等による類似団体間ではなく,むしろ同一地域内に向けられやすいとの知見を得た。これを考慮して(2)の分析を地域ブロック別に行ってみると,(2)の時と比べて特化係数の凹凸は平準化されることがわかった。
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