研究課題/領域番号 |
09710206
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 宮城学院女子短期大学 |
研究代表者 |
磯部 裕子 宮城学院女子短期大学, 保育科, 助教授 (50289740)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 保育者 / 子育て / 女性の専門職 / 19世紀 / アメリカ / 女性史 / 近代 |
研究概要 |
昨年度は、アメリカの19世紀の女性たちの生活実態、そしてそれから探り得る彼女たちの心性を中心として、分析をすすめた。資料としては、教会録や雑誌、個人史などを中心として用いた。今年度は、これら記録に残る女性たちの中でも、主として専門職に就いた女性たち、特に教育、保育、看護などの仕事に従事した女性たちの社会的位置づけ、及びこれらの仕事が「専門性」として構築されていく過程及びその構造について考察を進めた。 教育、保育、看護などの専門職は、その「専門性」と「女性の特性」が、常に密接に関わり合った形で論じられ、その中でこれらの専門職に対する巧みな言説がつくり出されていった。そして、それらの言説が、さらに、専門職としての有るべき姿を構築し、ゆるぎないものとしていくという構造となっていた。 本研究において注目してきた「子育て」「保育」という領域においてもこの構造は顕著である。我々が自明視している母親の姿、母親らしさ、理想像及び保育者の専門性などは、様々なシステムの中で作られた言説によって構築されていったものと言えるであろう。本研究は、「子育て」という私的な活動が専門職化していく過程から、そうした構造を浮きぼりにする試みである。 そもそも「子育て」という行為が女性の役割としてその適性が評価されるようになったのは、近代以降のことである。多くの言説によって、この役割が高められ、人々は自明のこととしてこの行為の意味を受け入れるようになった。こうした事実が定着すると時を同じくして、「子育て」の専門職が誕生する。この専門職は、公的行為であるにも関わらず、私的行為の「子育て」の延長線上で論じられつつ構築された専門職であった。 今日の保育者の専門性を論じる上で、この構造を明らかにしておくことは、重要なことである。本研究は、今後の保育者の専門性を分析する上で、「保育」という役割の歴史性をこれらに関わる言説から明らかにしたものである。
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