本研究は、日常的に医療的ケアを必要とする重複障害児(超重症児)の指導場面において、「指導者が子どもの行動をどのように読み取っているのか」並びに「指導者は行動の読み取りを指導の中でどのように生かしているのか」の2点についての研究である。今年度(平成9年度)は2年計画の初年度であり、「指導者が子どもの行動をどのように読み取っているのか」について検討した。 研究方法は日常的に医療的ケアを必要としない重複障害児(以下「重複障害児」と記す)1名と超重症児1名を選定し、指導場面の観察と聞き取り調査により行った。その上で、超重症児の指導場面において、重複障害児との比較で、指導者はどのような観点から重複症害児の行動の読みとりを行っているのかについて検討した。 その結果、超重症児と重複障害児の双方とも次の5つの観点から指導者が行動を読み取っていた。視線、表情、発声、手の動き及び健康状態の観点である。特に、超重症児の場合は、重複障害児に比較して、健康状態、表情、発声の三つの観点が強調された。 また、超重症児の場合は、その三点を単に並列的に読み取るのではなく、呼吸を中心とした健康状態の読み取りが基盤となるため、子どもの健康面の状況を整えながら指導を進めることの重要性が示唆された。
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