研究課題/領域番号 |
09710262
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
砂田 徹 北海道大学, 文学部, 助教授 (10206576)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 共和政期ローマ / ノビレス貴族 / エリートと民衆 / コンティオ / 雄弁術 / 政治史 |
研究概要 |
本研究は、「共和政期ローマにおける支配エリートと一般民衆の関係性」の解明を課題としていたが、平成9年度はまず、1984年のF・ミラーの問題提起以来、それを承ける形で展開されてきた共和政期ローマの社会=政治構造をめぐる論争の整理を行なった。その結果、従来のような「ノビレス貴族」と呼ばれる一群の支配エリートが「上から」一般民衆を操作していたとするのではなく、しかしながら他方で、民会=一般民衆の「下から」の影響力をその実態以上に過大評価するのでもなく、まさに両者の関係性から共和政期ローマの政治的特質を解明していく必要性があることが明らかとなった。 このような考察を前提としながら、平成10年度は両者の出会いの場であるコンティオに焦点を定め、両者の関係性をより具体的に明らかにしようとした。その結果、民会に先行して開催されたコンティオと呼ばれる集会は、最近強調されるほどに「民主的」ではないが、共和政期ローマの支配エリートたちは、このコンティオの場で雄弁術を駆使しながら頻りに民衆を説得しようとしていたこと、そしてそこからは、とりもなおさず「政治の公開性」という特質が窺われることが明らかとなった。共和政期のローマが「ノビレス貴族」により統治されていたのは確かだとしても、彼らは従来考えられてきた以上に、一般民衆の意向に規定されていたのである。 なお、当初予定していた、トリブスというレヴェルで「支配エリートと一般民衆の関係性」を考えるという点に関しては、今回十分検討することができなかったので今後の課題としていきたい。
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