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民族名の出現過程からみた“ドイツ史の始まり"

研究課題

研究課題/領域番号 09710273
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 西洋史
研究機関東海大学

研究代表者

三佐川 亮宏  東海大学, 文学部, 講師 (20239213)

研究期間 (年度) 1997 – 1998
研究課題ステータス 完了 (1998年度)
配分額 *注記
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
キーワードドイツ / 民族 / オットー3世 / フランク / ザクセン
研究概要

本年度は、「ドイツ人(Theodisci/Teutonici)」の関連史料用例のデータベース化を進める一方、特に1000年頃に皇帝オットー3世の周辺に集う知識人が、イタリアから「ドイツ人」という名辞を、個々の部族の次元を越えたアルプス以北の領域の住民の総称として受容した経緯を中心に考察を加えた。具体的には、タングマール『ヒルデスハイム司教ベルンヴァルド伝』、クヴェーアフルトのブルーノ『聖アーダルベルト伝』、メールゼブルク司教ティートマル『年代記』を対象としつつ、「ドイツ人」なる概念の中身を個別に検証し、次の成果を得た。
1. 史料に現れる「ドイツ人」は、皇帝によって支配された帝国のうちのアルプス以北の領域を担う超部族的性格の政治的統一体ではなく、彼らの輪郭は「他者」たるイタリア人との対比関係のみによって把握しうる極めて曖昧な存在に留まる。また、「ネーション」を構成する重要な要素の一つとして、「出自神話」といった統合的紐帯の機能が挙げられるが、かかる伝統形成もこの時点においてはまだ見出されない。2.こうしたドイツ人像の非政治的・非歴史的性格は、皇帝が民族の枠組みにとらわれない普遍的・キリスト教的ローマ帝国理念の実現を追求する一方、アルプス以北の政治的構成はなお強固な伝統的絆によって結ばれた個々の部族集団の集積であったという事情に因るものと考えられる。「ドイツ人(Theodisci/Teutonici)」は、「帝国(inperium)」と「部族(gentes)」の中間にあって、政治的・民族的アイデンティティの対象へと発展する可能性を阻害されていたのであり、それはさしあたり皇帝の積極的なイタリア政策に伴う異文化接触という文脈における、あくまでも言語・習俗・法慣習等に照らして「他者」と認識されたイタリア人との対比概念以上のものとはなり得なかったのである。なお、目下その詳細を記した論文を執筆中であり、近々学会誌に投稿する予定である。

報告書

(2件)
  • 1998 実績報告書
  • 1997 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 三佐川 亮宏: "“フランク"と“ドイツ"の狭間-初期オットーネン治下の王国と支配者の呼称について" 西洋史学. 188. 1-22 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 三佐川亮宏: ""フランク"と"ドイツ"の狭間" 西洋史学. 188. 1-22 (1998)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書

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公開日: 1997-04-01   更新日: 2016-04-21  

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