平成10年度の研究実績は、以下のごとくである。 1、 <和製類書>の範囲の認定 ー書目年表作製のための基礎作業ー 平成9年度までに、機軸になる故事要言集に関しては、目安が付いていた。10年度は、「随筆」「絵本」に従来を区分されてきたものの中にも、和製類書と見なせるものが存在することが確認できた。また、禅宗関係の『句双紙』が和製類書として認定できるだけの内容を持つことも判明したので、月尋堂の浮世草子において、その有効性を確かめた。 2、<和製類書>受容の具体的事例の指摘 研究の有益性を示さなければ、なかなか研究は進展しにくい。したがって、<和製類書>受容の具体例を示すことで、研究の必要性をアピールする。現在、『訓蒙故事要言』が影響を与えた文芸作品の一覧を作成してある。 今後の展開において、最も必要なことは和製類書を影印・翻刻し多数の人間に実見してもらうことである。現在、出版社(国書刊行会)へ、近畿大学教授高田衛氏を通じ、和製類書一覧を提示しており、その中で、特に近世文芸に重要な関連を有するものを翻刻する打ち合わせを行っている。神谷としては、、代表的な和製類書『訓蒙故事要言』影印を希望している。それに合わせて解題において、これまでの研究成果を組み込む予定でいる。
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