研究課題/領域番号 |
09710364
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 大阪市立大学 (1998) 旭川医科大学 (1997) |
研究代表者 |
山崎 雅人 (山ざき 雅人) 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (00241498)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 満州語 / 会話書 / アルタイ言語学 |
研究概要 |
本年度研究計画として予定した西日本の大学・研究機関所蔵の会話書文献の収集はほぼ終了し、これにより前年度分と合わせて代表的な会話書『満文一百条』、『清文指要』(大酉堂刻本・三槐堂刻本)、『清語易言』、『満漢成語対待』、『清話問答』等を全て入手することができた。このなかで『一百条』『清文指要』については、拙稿「『一百条』と『清文指要』に関する編集の問題」で書誌学的観点からの対校と分析を行った。これまでの分析から、異本関係にある両書には格助詞の有無、語気を表す終助詞の有無、さらに異なる語彙の使用による言い換え表現など口語的と考えられる特徴が多数あることが分かった。これらは当時の会話における言語表現のバリエーションを反映するものと考えられ、満州語文語の史的変化の中に位置づけるため、会話書以外の文献に見られる文体との比較を通じてさらに考察を発展させる必要がある。こうした異なる文体を持つ文献と口語的特徴を精密に対照させることにより、満州語文語の表現の多様性を論じることができると考える。入手した会話書文献は、順次データベースとして扱うための電子化作業に取りかかっており、現在までに『清文啓蒙』巻二「兼満漢字満州套話」と『満文一百条』を終了した。 このほか入手した文献の書誌学的作業としては、『清語要旨』の東京大学本と中国民族大学本の照合を今後の課題として考えている。また、東京大学所蔵の『漢文一百条』には、手書きの対訳漢語が付されていることが分かり、これと『清文指要』漢語訳、『清語要旨』漢語編との対照は興味深い課題と考える。なお、瀋陽故宮所蔵の会話書を入手し翻字翻訳したものが、拙稿の『瀋陽故宮所蔵『(滿漢合璧)清語對話』対訳』である。これは管見の限り、既存の満州語文献目録に記載されていないもので、小冊子ながら当時の満州語会話の様子を描写したものとして、会話書のジャンルに貴重な一点を追加することができた。 また、今回の研究計画で海外の専門家によるレビューを受けたことがきっかけとなり、本年八月に北京で開催する第二回国際満学検討会で研究発表をする機会を得ることができたのもひとつの成果と考える。
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