研究課題/領域番号 |
09720062
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大澤 博明 熊本大学, 法学部, 助教授 (70213684)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 朝鮮永世中立化 / 日清戦争 / 朝鮮政治改革 / 日清共同朝鮮内政改革 / 朝鮮甲午改革 |
研究概要 |
朝鮮における政治改革(1894-96年)の展開が日本の朝鮮永世中立化構想にどのような影響を与えたのか、という点について未刊行資料を入手分析して以下のような新たな見知を得ることができた。 1、1880年代から90年代にかけて、朝鮮永世中立化を推進しようとする日本国内の極力主体の動向と、朝鮮永世中立化構想の段階的変化の骨格を日本側資料、イギリス外務省資料、アメリカ国務省資料などによって跡づけることができた。 2、日本の朝鮮永世中立化構想の段階的変化は、朝鮮国内政治と清の国内政治の在り方と密接な関係を有していた。朝鮮永世中立化の前提条件の一つは、朝鮮が政治改革を行い安定的秩序を形成することにあった。しかし、朝鮮の政治改革を遂行する朝鮮側の権力基盤を形成するために朝鮮内政に日本が干渉するに従って、永世中立化の政策的優先順位は低下してゆく。この段階では、朝鮮永世中立化の可能性は、戦争中の日本の利害と朝鮮内権力状況とこれらを取り巻く国際的環境によって規定されていた。 3、日清戦争後の朝鮮永世中立化論はイギリスの関与とその度合いをめぐって日本、ロシア、イギリスそれぞれの思惑が錯綜し一致点を見いだすことができなかった。そのため日本、イギリス、ロシアなどの主導にかかる個別利益と密接な関係を有するものとは異なるいくつかの代賛案が提示されるものの実現できなかった。加えて、朝鮮内権力状況は1896年初頭に大変勤を迎え、朝鮮における近代的政治改革は挫折した。ここにおいて、朝鮮永世中立化を東アジア国片秩序安定化の要として位置づけてきた日本側の期待の根拠自体が消滅した。 以上要するに、朝鮮永世中立化構想を推進しようとする日本国内の動向と、朝鮮永世中立化の朝鮮内条件、並びに東アジア国際政治環境という3つの側面の下で、朝鮮永世中立化実現の可能性が大幅に低下していったものと考えられる。
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