研究概要 |
97年度から98年度にかけての研究において以下のことがわかった。 1、 1970年代における英国において、政党制が変容しただけではなく、それを支える有権者の意識も変化してきたということである。ただ、それは、70年代以後、急速に台頭してくる第三政党の支持者に直接結びついたわけではないが、それまでの政治意識全体を変えることに、よって、サッチャー政権の登場や英国自民党などの進出をもたらした。 2、 また、英国政治において指摘されてきた“戦後コンセンサス"のあり方も、70年代を境いに変容しており、保守党と労働党をめぐる政策のあり方も変化した。具体的には、サッチャー政権期までのケインズ主義的福祉国家を軸とした二大政党間のコンセンサスも、サッチャー政権期をへて変容し、今日のブレア政権の時点では,ケインズ主義を拒否した福祉国家の再編へのコンセンサスへと変わっている。ただ、まだ、その再編の具体的内容に関しては、今もなお試みが為されている最中である。 3、 戦後コンセンサスの議論をめぐっては、有権者の意識のあり方が軽視され、英国本国も含めてあまり研究されてこなかった。この点を解明することが本研究の課題であるが、その課題は現在継続中である。
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