研究概要 |
今年度は、引き続き、何故、アメリカにおいて、日本の自動車部品会社の生産性が劣るのかについて研究を行った。その結果、日本企業は、アメリカにおいて、かなり、高度な技術をおり込んだ設備投資を行ったが、設備のメインテナンスをする人材にかけ、それがうまく特に初期の頃は生産性の伸びにつながらなかったことがわかった。この研究成果の一部を含め、98年7月、アメリカ西部経済学会で研究発表を行った。タイトルは、“Multinationals,Production Efficiency and Spillover Effects.The Case of the U.S.Auto Parts Industry"である。 また、インドネシアにおける自動車産業(2輪車、4輪車を含める)と海外直接投資の関係についても研究を行った。両産業とも、インドネシア政府の産業政策のターゲットであり、また、日本企業が深くその発展に関わってきたことは同じであるが、4輪車部門において生産性向上、部品産業の発展が全く見られないのとは対照的に、2輪車においては90年代、急速なる発展が見られた。この研究成果は、“Automotive Industry in and the Role of FDI in its Development"の論文にまとめ、経済企画庁主催の会議で研究発表を行った。 2年度にわたる研究の結果、直接投資と経済成長の関係は、先進国と途上国において相違が見られるのみならず、途上国の中にあっても全く産業によってその効果が異なる。したがって、両者の関係は一義的では有り得ず、他の多くの要因によって左右されることがわかった。
|