研究概要 |
'97年度(一部'98年度)に整備した10社(三菱電機,東京電気,日本電気,三菱重工業,日野自動車工業,トヨタ車体,日産車体,関東自動車工業,カヤバ工業,アツギユニシア(厚木自動車部品))における会社職員録(ダイヤモンド社発行各年版)のデータを用いて、'69から'98までの課長職以上の昇進確率をsurvival esitimationを用いて分析した。(なお、東京電気,アツギユニシア(厚木自動車部品)は'94まで)その結果、各企業ダミーは有意であること、これは様々な企業成長率(従業員規模、有形固定資産規模、従業員一人あたり経常利益)を説明変数に加えても変化しないことが明らかになった。これは、企業間での昇進確率の構造には大きな格差があることを意味している。他方で、年齢、在職年数、前位在位年数(そのランクの一つ下のランクにおける滞在期間)の係数に有意な企業間格差は見いだされなかった。これらのことから、昇進の確率構造は企業間で大きく異ならなくても、その水準で企業間の格差があることが示唆される。また前位在位年数は全ての場合で有意ではなかった。これは、分析の対象となった課長職以上では既に選抜が終了しており、前位の滞在年数は重要な情報ではないことを意味していると考えられるが、一方で、一つ下のランクの定義の問題も多分に含んでいると予想される。 これらの分析結果は今後、若干の修正を経て、2000年度を目処に日本経済学会で報告し、学術雑誌へ投稿する予定である。
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