研究課題/領域番号 |
09730061
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 助教授 (50176913)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 退職全税制 / ポータビリティ / 転職 / 欠勤率 / 労働組合 / 解雇 / 退職金 / 税制 / 転職率 / 欠勤 / パートタイム |
研究概要 |
本研究では、税制・社会保障制度が労働市場に与える影響について、実証的研究をおこなった。その成果をまとめた中心的論文として、「退職金税制と労働市場」がある。この論文では、時系列データを用いて、日本の実質退職金非課税枠の上昇が、転職率に有意にマイナスの影響を与えてきたことを明らかにした。さらに、クロスセクションデータを用いて、勤続年数の増加に伴う退職金の増加額が、転職率に有意にマイナスの影響を与えることも明らかにした。 また、「年功賃金・退職金・景気循環が欠勤行動に与える影響と労働組合」という論文では、退職金制度が、労働者の欠勤率を引き下げる働きを持っていることを実証的に確認した。しかも、労働組合がある企業では解雇費用が高いため、退職金の欠勤率引き下げ効果が、労働組合がない企業よりも小さいことが示された。このことは、解雇権濫用法理という判例による解雇規制が、労働組合がある企業を中心として、機能しているが、組合がない企業では、解雇規制は緩いことを示している。 日本の退職金・企業年金制度のポータビリティの欠如と税制のあり方が、転職を阻害することを実証的に示した。このこと自体は、企業特殊熟練やインセンティブ効果を考慮すると、望ましい機能であると判断できる。しかし、企業特殊熟練の生産性が技術革新のために予想より低下してしまった場合には、過剰な転職抑制制度として機能してしまう。構造的な高失業が生じた場合には、退職金・企業年金の転職抑制機能を緩める必要があり、税制もそれに応じて修正する必要があることを、「高失業時代における雇用政策」でまとめた。
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