研究概要 |
企業における情報リテラシー教育は情報化に重点を置いている一部の企業以外では未だ緒に着いたばかりである,情報リテラシーを重視して教育している企業においても内容は現在の自社業務に必要なものであり,企業間では教育内容に違いがみられる.人材教育は,その性質上,他企業との共通化を図ることはこれまで困難であった.しかし,今後ますます重要になるEDI,CASL,ERPといった情報システム環境においては,単一の企業やグループ内だけではなく,取引企業を含めた他企業との連携が必要になる.例えばEDIにおいては,その主たる問題は交換するレコードの書式についての合意を形成することであり,その合意形成のためには,情報リテラシーのような非常に幅広く共通的な能力が必要となる.この現状を鑑みると,グローバルスタンダードになりうるような情報システム環境(EDI,CALS,ERPなど)の導入は,情報リテラシーの体得を巡る状況を改善するトリガーとして機能することが期待できる.そして,これらの情報システム環境の導入に際しての,情報リテラシーを含めた導入教育には,これまでのCAI構築の考え方にイントラネット環境を,加味した,統合環境および企業間共通の教育システムが必要である.しかしその教育を大学だけで施すのは難しい.そのため,今後は大学院教育でのより実践的な教育方法と,初等中等教育におけるコンピュータリテラシーに重点を置かない総合的な情報リテラシー教育がより重要な検討課題となる.
|