研究概要 |
本研究は,販売剖門における組織文化と業績の関連プロセスについて検討することを目的として,大手リース会社のケーススタディ,および大手広告代理店の営業マンに対するインタビュー調査、定性的質問紙調査を行った。 まず,高い業績をあげている大手リース会社の営業に関して調査を行ったところ,支店間の競争が激しいにも関わらず支店間で情報共有が行われていることが明らかになった。この結果は、競争的文化が販売のイノベーションを換起し,協調的文化がイノベーションの普及を促進していると解釈できる。競争と協調の微妙なバランスを可能にしている組織的要因として,1) 利益そのものよりも利益を生み出す仕組みを作り出すことを奨励する業績評価システム,2) 営業旭当者個人によるノウハウの抱え込みを防ぐチーム志向の営業活動 3) 従業員の異質性を促す採用システム,4) 問題解決に重点を置く販売彰略,5) 系列からの独立性、 6) 会長のリーダーシップ,という要因が関連していることが明らかになった。 次に,部門文化一チーム営業の知識-業績の関連プロセスを検討するために,大手広告代理店において高い業績をあげている営業チームのリーダー16名に対するインタビューを行い、その結果に基づいて同社の営業マンに対して定性的質問紙調査を行った。その結果、1)各営業プロセスにおけるチームリーダーとしての役割に関するする知識 2)営業チーム内を運営するための知識 3)社内スタッフをとりまとめ調整するための知識、及び 4)上位管理使者を巻き込むための知識、がチーム営業を有効に進める上で重要であることか明らかにされた。 また,こうした知識は、自主性を尊重しつつ,競争を促す部門文化の中で獲得されていくという結果が得られた。
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