研究概要 |
Fを標数0の代数閉体,AをF上定義されたアーベル多様体,XをAの部分多様体とする.このとき,マニン-マンフォード予想とは,X(F)∩A(F)_<tor>がXの中でザリスキ位相で稠密なら,XはAの部分アーベル多様体のねじれ点による平行移動であると主張するもので,レイノウにより証明された.さらに,F=Q^^-のとき,LをA上の対称的で豊富な直線束とし,h^^<^>_LをLに付随する標準的高さ関数とすると,次のボゴモロフ予想が,最近,ウルモと張によって証明された.“もし,すべてのE>0に対して,{x∈X(X(F)|h^^<^>_L(x)【less than or equal】E}がXの中でザリスキ位相で稠密なら,XはAの部分アーベル多様体のねじれ点による平行移動である."そこで,マニン-マンフォード予想を含む形で,ボゴモロフ予想の拡張を考え,その証明を試みた.そのためには,KがQ上有限生成な体で,F=K^^-となる場合について考えればよいことになる.しかし,この拡張を行うにあたって,高さ関数として,幾何学的なものを考えると失敗するので,アラケロフ幾何を用いて,幾何学的なものを含む算術的な高さ関数を定義した.これを用いて,ボゴモロフ予想の拡張とその証明に成功した.つまり,次の定理が今年度の主たる結果である. 定理.KをQ上の有限生成の体,F=K^^-,LをA上の対称的で豊富な直線束とする.このとき,次を満たす双線形写像〈,〉_L:A(F)×A(F)→Rが存在する. (1) 〈,〉_Lは対称的である.つまり,〈x,v〉_L=〈V,X〉_Lである. (2) 〈x,x〉_L【greater than or equal】0がすべてのx∈A(F)について成り立ち,〈x,x〉_L=0が成り立つための必要十分条件はx∈A(F)_<tor>である. さらに,||・||_L=√<〈・,・〉_L>についてボゴモロフ予想が成立する.つまり,もし,すべてのE>0に対して,{x∈εX(F)|||x||_L【less than or equal】E}がXの中でザリスキ位相で稠密なら,XはAの部分アーベル多様体のねじれ点による平行移動である.
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