最近楕円有理曲面上のベクトル束のモジュライ空間のオイラー数が数理物理の進展により計算された。 これはN=4位相的ヤンミルズ理論における双対性と新たに提出された正則アノマリーに関する漸化式予想にモジュライ空間の基本的性質を組合わせて得られた。 私は数理物理を使って計算されたオイラー数を数学的手法により階数が2の場合に計算し、その値が完全に一致することを確かめた。この事は双対性の存在の根拠を与え、また正則アノマリーに関する漸化式予想に対する根拠を与える。N=4位相的ヤンミルズ理論における双対性を確認するのは一般に大変難しく、知られている例は射影平面とK3曲面の場合だけであった。私の計算は新たな例を与えると同時に、K3曲面の場合より複雑で、しかもきれいな関数で記述できた点でも興味深いと思われる。さて私の利用した方法はwa11 crossing公式を適用するというもので、高い階数の場合には今のところ通用しないと思っている。楕円ファイバー構造を利用した計算方法を確立し、他の階数の場合も扱えるようにするのは今後の課題である。
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