高次元標準特異点の解消については次のような成果を得た。すでに英国ウォーリック大学のM.Reid氏との研究でわかっていた3次元のSL(3.C)の有限部分群による商特異点に関する例外因子と群の共役類の対応ではクレパントな特異点解消のコホモロジー群の次元についても計算されていた。しかしその証明にはポアンカレ双対という大道具が必要であった。一方2次元の場合、北大の中村氏との研究でC^2上のn点のヒルベルトスキームを用いて極小特異点解消を構成し、例外因子と群の表現の対応であるMcKay対応の数学的説明を得ていた。そこで3次元の場合もC^3上のn点のヒルベルトスキームを用いてクレパントな特異点解消が構成できるかという問題がある。実際SL(3.C)の有限部分群Gが可換群の場合はヒルベルトスキームを用いてクレパントな特異点解消が構成できるという中村氏の結果が出た。この場合C^3/Gがトーリック多様体になるのでトーリック幾何学が強力な道具となる。そこで現在3次元の場合でGが一般のとき同様の構成が出来、群の表現を用いたMcKay対応もあるらしいことを京大の中島氏との研究で証明できつつある。またミラーシンメトリーに関しては7月に京大で開かれた研究集会の講演者、参加者から最近の情報を得たことにより現時点での問題点、今後の研究のめどがついたのでこれから引き続き研究していきたい。
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