研究概要 |
代数曲線に付随する外Galois表現の像の大きさの評価を中心的課題として研究を行なった。申請時には、次のように研究内容を大きく二つに分けて掲げた。 1. 代数曲線の副l基本群への作用から定まるGalois表現のLie環化に関する、Calois像の大きさやLie構造についての研究 2. P^1\{0,1,∞}に付随する副有限なGalois表現の像についての研究。特に、Grothendieck-Teichmuller群内でGalois像が満たすべき新しい型の関係式を得ること。 今年度は実際には主として後者の研究課題について研究を進めたので、それを中心に報告する。 昨年度の後半より、P^1上の5点配置の空間の或る商にP^1\{0,1,∞}を埋め込むという手法により、Grothendieck-Teichmuller群内でGalois像が満たすべき新しい型の関係式を発見していた。今年度は更にこれを推し進め、P^1上の5点配置の空間の或る商にP^1\{0,1,∞}を埋め込む方法を全て分類することにより、この方法で得られる関係式を挙げ尽くすことを目標の一つとした。これについては現在までに本質的な部分は遂行することが出来た。また、都立大の中村博昭氏との共同研究により、P^1\{0,1,∞}のS_<3^->対称性を詳細に観察することにより、調和関係式・等非調和関係式(harmonic equation,equianharmonic equation)と呼んでいる新たな型の関係式も得られた。これらの結果の一部は、講演「ガロア群と写像類群をめぐる最近のいくつかの注意」(「リーマン面に関連する位相幾何学」研究集会、1998年9月、於北海道大理、都立大・中村博昭氏と連名)及び、「Harmonic equations in Grothendieck-Teichmuller group」(「Communications in arithmetic fundamental groups」研究集会、1999年2月、於京都大数理解析研)、で発表した。以上の両研究とも、論文として発表すべく現在執筆中である。
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