研究概要 |
1. 普遍タイヒミュラー空間の前Schwarz微分モデルの構造の解析。 Yong Chan Kim氏との共同研究により、前Schwarz微分のノルムからタイヒミュラー空間の点を表現する単葉函数の増大度評価や計数評価などがどのように得られるかを 明らかにした(プレプリント)。2. (1,1)型タイヒミュラー空間のBers埋め込みのグラフィック化。 大阪市大の小森洋平氏との共同研究により、(1,1)型リーマン面のタイヒミュラー空間のBersモデルの境界をコンピュータにより描画するための実行可能な計算原理を見いだした。実際にはある種の有理函数を係数に持つ微分方程式のモノドロミーを計算し、それを用いてBers埋め込みの境界を知るという方法であり、これまでにこのような計算例は報告されていない。今後はこれをプログラムに乗せて計算を実行させる積もりである。 3. Laplacianに関するDirichlet問題の解の境界正則性の研究。 かなり緩やかな仮定の下で平面領域がLaplacianに関するDirichlet問題についてある指数以下のヘルダー連続性を保存するという結果を示した。例えば、境界が一様完全であればこの結果は正しく、全不連結な境界についてはこれまでこの種の結果は知られていなかったと思われる。同様に、Green函数の境界挙動についても詳しい評価が得られた(プレプリント)。
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