研究概要 |
本研究では、4次元多様体上の計量構造・共形構造と他の幾何構造(概複素構造等)の関わりおよびその積分可能性を扱った。 1. (2,2)型超Kahler構造(2,2)型超Kahler構造は、ある代数的関係を満たす三つのシンプレクティック形式により特徴付けられ、対応する概超Hermite構造の積分可能性はこれらが閉形式であることから従う(プレプリント(1997))。この構造を許容するコンパクト複素曲面は、複素トーラスと第一種小平曲面に限られ、全て平坦な(2,2)型超Kahler構造をもつ。また、平坦でない(2,2)型超Kahler構造の例もある。上記を踏まえて、コンパクト複素曲面上の(2,2)型超Kahler構造の特徴付けと平坦性に関して次の結果を得た(プレプリント(1998)、Tsukuba J.Math.掲載予定): 定理1.1.コンパクト複素曲面上の(2,2)型超Kahler構造は、非線形超双曲型方程式をみたす一つの関数(以下、ポテンシャル関数と呼ぶ)によって決定される。 定理1.2.コンパクト複素曲面上の(2,2)型超Kahler構造が平坦であるためには、ポテンシャル関数が定数であることが必要十分である。 2. Einstein-Weyl構造と概複素構造 4次元概Hermite多様体に対して、自然に定まるWeyl構造がEinstein-Weylであるとき、概Hermitian-Einstein-Weyl多様体と呼ばれ、概Kaler-Einstein多様体に対する共形幾何学的対応物とみなせる。4次元概Hermite-Einstein-Weyl多様体の概複素構造の積分可能性について、次の結果を得た(プレプリント(1999)、投稿中): 定理2.1.コンパクト4次元概Hermitian-Einstein-Weyl多様体の共形スカラー曲率が非負であれば、その概複素構造は積分可能である。 系.概Kahler-Einstein構造から導かれないコンパクト4次元概Hermitian-Einstein-Weyl多様体は、平坦Weyl構造をもつS^1×S^3型のHopf曲面に限る(このとき概複素構造は積分可能)。
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